大分県教育委の職員らが教員採用試験で受験者の得点を操作するなどの不正を行い、県はこれにより不合格となった受験者らに対して損害賠償金を支払った。
住民の上告人らが被上告人を相手に起こした、地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求として不正に関与したAらに対する求償権に基づく金員の支払いを請求する等の住民訴訟で最高裁第三小法廷は、原判決中、被上告人に対してAに対する請求に関する部分を変更するとともに、B、C、Dに対する請求に関する上告人らの上告を却下した。試験当時、Aは教育審議監、Bは県内の市立小教頭、CはBの妻で同教諭だった。
原審は、国家賠償法1条2項に基づく求償権は実質的には不当利得的な性格を有し、求償の相手方が複数の場合には分割債務になるとし、Aに対する請求のうち955万7,717円を超える部分を棄却すべきだとした。
最高裁は、国または公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が、共同して故意によって違法に加えた損害につき、国または公共団体がこれを賠償した場合には、当該公務員らは連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負うと解すべきであり、県はAに対しAによる弁済額を控除した2,682万4,743円の支払いを求めることができるとした。
■参考:最高裁判所|複数の公務員が,共同して故意・違法に加えた損害につき,国等が賠償した場合,当該公務員らは,連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負う|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89576