Weeklyコラム 経営の実態を観察する

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筆者の知人Aさんは、母親(88歳)と同居しながらレストラン3店を経営している。母親は今のところ元気で、母親が日課にしている朝の散歩に付き添っている。話しながら歩くので、母親の愚痴を聞いたり、健康状態を観察したり出来る。

将来、何か問題が起きても対処出来ると考えている。Aさんの経営姿勢は、「日頃から観察・注目していない事柄は、いざという時に何も出来ない」である。従業員の働き方や生活態度は当然、お客が好むメニュー傾向、店舗周辺の立地条件変化等を真剣に観察している。これまで日頃の観察によって問題点を探り、新規採用や職務改善に関する従業員管理は旨く行っている。お客の不満や苦情も首尾良く対処出来た。日頃の観察実績があるので、現場の状況が良く分かったからである。

なお、Aさんが創業以来35年間、厳しく守っていることがもう一つある。Aさんは同業者団体や顧客先等との交際が広いが、そのような日であっても全店舗に必ず顔を出す事である。夜の会合後、閉店間際に行く場合もある。店舗の状況が日々観察出来、従業員も経営者の労い言葉に安心するからだ。Aさんの経営信念を繰り返すと、「平穏無事の時に実行していなかった事が、危うき事が発生した時に旨く対処出来るはずがない」という事である。