不動産貸付業を営む審査請求人らが、賃貸していた土地上にある土地の賃借人所有の建物収去に要した費用について、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入して所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が家事上の経費に該当し、必要経費に算入できないとして所得税等の更正処分等を行った。請求人らがその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、請求人らの支出は客観的にみて、請求人らの不動産所得を生ずべき業務と直接関係し、かつ業務の遂行上必要なものだとし、必要経費に算入できると裁決、処分の全部を取り消した。元年9月20日付。
審判所は▽請求人らは、一連の法的手続きにより賃料未払いの賃借人から土地の明け渡しを受け、並行して新たな賃借人への貸し付けをした。この間、土地を賃貸業務以外の用途に転用した事情はない。土地の貸し付けに係る業務は、賃貸借契約終了後、各建物の収去に至るまで継続していた▽請求人らは土地から収益を得る業務をするには各建物を収去する必要がある。その費用は自らが負担することを想定して法的手続きを遂行し、収去費を支出した▽賃借人は無資力。当該支出の時点で請求または事後的に求償しても、回収が見込めない。各建物収去費は請求人らが自ら負担するほかなかった―とした。
■参考:国税不服審判所|賃貸土地の賃借人所有の建物収去のための請求人らの支出について、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入できると判断した事例(全部取消し・令和元年9月20日裁決)
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0402130000.html#a116