親愛の情や気分次第 社内ではNG

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セクハラ、パワハラについては、被害にあった側の主観に係る部分が多いのは事実だが、それでもトラブルとなった際には実際になにをしたかの客観的な事実が検証され、その行為が社会通念上どうかという点で判断されることになる。

女性従業員が退職の申し出の翌日から有給を取得し、引継ぎもしないまま2週間後に退職すると言い出した事業所で従業員の言い分を聞いたところ、社長が気分次第で怒鳴るといったパワハラのほか、朝礼で「事業所の雰囲気を盛り上げるために」毎朝ハグを強要、従業員が頑張ると「いい子 いい子」と頭を撫でるといった行為をしていたことが判明した。社長の言い分は、「親愛の情であり、こんなことで騒がれるのは痴漢冤罪と変わらない」というものだったが、これらの行為については労働基準監督署に従業員が申告、事実であればパワハラとセクハラという意見が出されていた。本人にしてみれば親愛の情の表現のつもりでも、もはやその言い分は通らない。

なお、この事案の場合、退職理由は自己都合ではなく、離職証明書の「5労働者の判断によるもの(1)職場における事情による離職(2)就業環境に係る重大な問題(故意の排斥、嫌がらせ等)があったと 労働者が判断したため」となる可能性がある。