差押財産の帰属の認定 売買契約の時期の判定で棄却

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差し押さえられた滞納法人の動産について、その所有権を主張して原処分の取消しを求めた請求人に対し、審判所は棄却した。

請求人Aと滞納法人Bはいずれも宝石等の製造販売を主たる事業とする法人で、代表取締役はそれぞれKとLであった。AとBは平成27年、売買基本契約を締結し、AはBに対し宝飾品及びその原材料を継続的に売り渡すことを定めた。税務署長からBに督促があったのちの平成30年3月、KとLは、N公証役場において債務弁済契約を締結。BはAに対し、未払の売買代金を2回に分け指定口座に振り込むとした。4月24日、徴収職員はBの本社事務所及び各店舗を捜索、宝飾品数点を差し押さえた。Lは、同年2月28日付の商品売買契約書を提示。Bは全ての在庫商品をAに売り渡し、売買代金はAが有する売掛金債権から控除充当するとした内容であった。

審判所は差押財産について、控除充当に係る会計処理を、Aは差押処分後の4月26日、Bは11月21日に行っていること、AとBの意思の合致があったと認められる公正証書には控除充当されていない額が含まれていること、3月以降でAがBに販売を委託したとの証拠がないことを踏まえ、売買契約が差押処分より前に成立していたとは認められないとして請求を棄却した。

■参考:国税不服審判所|差押処分の前に差押財産を取得し、引渡しを受け対抗要件を備えたとの主張について、売買の意思表示が同契約書作成時にされたとは認められないとした事例(棄却・令和元年7月8日裁決)

https://www.kfs.go.jp/service/MP/11/0401030300.html#a116