違約金等は控除債務に該当 原処分庁の主張否認―不服審

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審査請求人が相続税について申告の必要はないとして、お尋ねの回答書のみを提出したところ、原処分庁が被相続人名義の預貯金等は相続財産と認められるなどとして相続税の決定処分等をした。

請求人が一部は請求人の固有財産などとしてその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等は相続開始日現在、現に存し、その履行が確実だったと認めるのが相当と判断、原処分の一部を取り消した。31年4月19日付裁決。

原処分庁は違約金等について、被相続人に支払う意思はなく、請求人も支払いを拒否して係争中であり確実な債務ではない旨主張。審判所は▽相続税の課税価格から控除する債務は、相続開始当時の現況に照らし、債務が現に存し、履行が確実と認められるものをいう▽違約金等は相続開始日に現に存し、履行を免れず、履行が確実な債務と認めるのが相当。債務者の履行の意思によって確実性の判断を異にするものとは解されない▽原処分庁が指摘する「係争」は、請求人が請負者側の説明義務違反等を理由として損害賠償を求めたもの。違約金等の支払い義務が消滅したり、履行の確実性が失われたりするものではない―などとし、控除する債務に当たると裁決した。

■参考:不動産取得税賦課決定処分取消請求事件(令和2年3月19日・最高裁判所第一小法廷・結果/破棄自判)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89334