最近の新型コロナウイルス感染症によって、通勤を必要としないテレワーク(在宅勤務型、携帯端末やタブレット等を活用するモバイル型、サテライトオフィス型等がある)が注目されている。
会社等に勤務する者にとって、通勤は仕事と同じくらいの負担である。通勤時間が往復2時間以上掛かる事は全く珍しくない。筆者も往復3時間掛けて30年以上通勤しているが、時には仕事より通勤の方が辛いと思う日がある。これまでは通勤時間が労働時間に含まれない事は、あまり疑問視されなかった。過労死に代表される過度の残業時間は社会から注視されたり、労働基準監督署から是正勧告等が出たりするが、通勤時間の長さには一般に無関心である。毎朝出社前に行う、洗顔・化粧・朝食・着衣等と同じようなものと考えているのだろうか。
ところで、なぜ法律に反した労働時間が強く規制されるのか。その目的は、労働者の健康を守る事にある。確かに、通勤途上は社内ではないので、会社の管理下に置くことが難しいかもしれない(通勤は労災の対象になる)。しかし、今後テレワークが普及した時、時々必要となる自宅と会社の移動時間が労働時間にならないだろうか。働き方の多様化に伴い、通勤時間の捉え方を加味した労働政策が必要になるかもしれない。