国際的な租税回避・脱税に対し、わが国は「BEPSプロジェクト」の合意事項を踏まえ累次の制度整備を行ってきたが、今度の改正では子会社株式の譲渡等により意図的に譲渡損失を創出させる租税回避、国際的なM&Aを利用した租税回避に対処するための見直しを行う。
子会社が配当を行うと、その純資産減少に伴い子会社株式時価が減少する一方で、受領した配当は親会社で益金不算入となり課税されない。これを利用した、子会社配当と譲渡を組み合わせた租税回避を防ぐため、50%超の支配関係を有する一定の法人(特定関係子法人)から受領する一定の配当等の額(対象配当金額)が、特定関係子法人株式の帳簿価額の10%超の場合、受取配当益金不算入制度等により非課税となる金額を、特定関係子法人株式の帳簿価額から減額することとなった。
ただし、次の場合は対象外。○特定関係子法人が内国法人で、かつ設立日から50%超の支配関係(特定支配関係)発生日までの間、90%以上の株式等を内国法人・居住者等に保有されている ○配当が特定支配関係発生日後に増加した利益剰余金から支払われている ○特定支配関係発生日から10年を経過した日以後の配当 ○事業年度中の対象配当金額が2000万円以下
■参考:財務省|令和2年1月31日 所得税法等の一部を改正する法律案|
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/201diet/index.htm#02