原処分庁が審査請求人の滞納国税を徴収するため、不動産について差し押さえ処分をした。請求人が、徴収権は時効により消滅しているとして原処分の全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、消滅時効は同処分によって中断しているとして請求を棄却した。元年5月14日付裁決。
不動産(建物4階部分)は当初、保証金付きで請求人が賃借。のちに賃借人は次々に代わったが、保証金は請求人が保持。その返還請求権が被差し押さえ債権となった。審判所は▽被差し押さえ債権の存在を、滞納処分による債権差し押さえ処分の要件とする旨の規定は存在せず、仮に差し押さえ処分を行った場合に、被差し押さえ債権が存在しなかったり、または既に消滅していたとしても、権利者による権利行使がなされたことに変わりはない▽仮に被差し押さえ債権が消滅し存在しなかったとしても、差し押さえ処分が違法または無効になるものではない。徴収権の消滅時効は差し押さえ処分によって中断している―とした。
滞納者や第三債務者による被差し押さえ債権の不存在または消滅を理由とする差し押さえ処分の違法または無効の主張は、不存在または消滅が明らかであるような事情、徴収権の濫用と認められる等の事情がない限り、認められないとしたものだ。
■参考:国税不服審判所|債権差押処分における被差押債権の不存在又は消滅の主張は債権差押処分の違法又は無効事由と認められないとした事例(令和元年5月14日裁決・不動産の差押処分・棄却)|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0702000000.html#a115