不動産市況――地方都市と郊外部で目立つ空き家の増加
5年に1度実施される「住宅・土地統計調査」(平成25年・速報集計)が、先月発表された。多くの新聞が1面トップで取り上げ、「全国の空き家数、820万戸に」「空き家率は13.5%に上昇」との見出しが躍っていた。5年間で空き家の数は63万戸増加し、空き家率は0.4%上昇して、過去最高となった。
さて、図表は政令指定都市の空き家率の推移だが、前回の調査時点と比べ、空き家率は低下している。政令指定都市の中では、静岡市と浜松市を除き、空き家率は下がっているのである。「空き家は増えたが、それ以上に人口や世帯数が増えた」ケースや「転入人口が増え、空き家が減った」都市もある。
地域格差の拡がりが、ここにも見られる。
今月の視点――顧客層の二極化が鮮明に
夏のボーナス時期は過ぎたが、新聞紙上では支給額上昇といった景気のいい話が数多く見受けられた。ただ、世間では「アベノミクスの恩恵は感じない」との声が一般的だ。
不動産市場では、消費増税が実施されたにもかかわらず、一部の高額物件の需要は、依然として根強い。その顕著な例を、高級リゾート地の軽井沢の市場に見ることができる。
昨年の円安・株高による資産効果もあり、軽井沢の市場は大きく変化した。一昨年までは3000万円までのリゾートマンションや別荘が動きの中心だったが、昨年からは億単位の土地も動くようになっている。株で一儲けした人だけでなく、不動産業者も買いに走り、バブル的な状況になっている。しかも一等地ほど需要が強く、高額でも優良な物件が売れるという「金持ち相場」になっている。
一方、一般の住宅に目を転じると、月々の支払いが家賃以下のローン支払いで済む低価格帯の住宅の動きは底堅い。もっとも、安ければ売れる訳ではなく、利便性を重視する姿勢が、年々、目立つようになっている。
また、倹約の姿勢も40歳代以下の層では強まっている。例えば、自家用車の所有に対するこだわりは無くなっており、結果、分譲マンション内では駐車場の空きが増え、自転車の駐輪場が不足するケースが増えている。
生活格差の進展は、不動産の様々な分野にも、影響を及ぼし始めている。
(情報提供:ネットワーク88)