22日、会員で公認会計士・税理士の佐藤正樹氏による毎年恒例の税制改正大綱のポイント研修を行いました。主な改正概要や実務への影響等以下の通り。
甘利会長の意向が色濃く出たのが経産省主導の「オープンイノベーション」への誘導措置。人材と技術を活かすために、ベンチャー/スタートアップ企業に的を絞って、新たなビジネスの芽に資金を流そうとするもの。いわば5G支援(日本は乗り遅れているため6Gを見越して)も同趣で、出口はスマートビジネスの成長を促す。逆にムチとして賃上げや投資促進税制の見直しで税収を補填。法人税では連結納税制度がグループ通算制度に。平成14年のスタート時は大企業が持つ兆円単位の欠損金利用への社会的要請が強かったが、グループ通算では子会社の欠損金は親は使えず。国外中古建物の耐用年数の違いを利用した節税スキームは封じられた。富裕層や業者諸氏は痛手。昨年生保の節税対策も封じられ、保険代理店のビジネス指南セミナー活況だとか。株式対価M&Aは見送り。子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応等もあり、行き過ぎたスキーム懸念もあり今回様子見か。電子データ納税への整備も進み、会計事務所の代行業務の限界が目の前まで来ている。
■参考:財務省|令和2年度税制改正の大綱(令和元年12月20日閣議決定)|
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2020/20191220taikou.pdf