死亡した母の相続に係る相続税について審査請求人が申告の必要はないとして、原処分庁へ「相続についてのお尋ね」の回答書のみを提出したところ、原処分庁が、被相続人名義の預貯金等は相続に係る相続財産と認められるなどとして相続税の決定処分等をした。
請求人が、預貯金等の一部は請求人の固有の財産などとしてその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、預貯金の名義のみならず、原資の出捐者、管理、運用状況等を総合考慮し、被相続人に帰属する相続財産だと判断した。31年4月19日付裁決。請求人は亡母名義の預貯金について、請求人が亡母に預けた金員を原資として運用し形成されたものである旨主張。
審判所は▽預貯金の名義はいずれも被相続人。被相続人が各口座を開設し、各金融機関への手続きを行い、印鑑を管理していた▽被相続人が負担すべき公租公課等が口座振替により支払われており、預貯金の金融機関の窓口での入出金手続きは被相続人によりされている―などから各口座の管理運用は被相続人が行っていたと認められるとした。また▽各預貯金の原資は、大部分が被相続人の別の預金、共済の満期金、公的年金等▽請求人の主張の根拠となる証拠は請求人の答述しかなく、裏付ける証拠は存在しない―とも指摘した。
■参考:国税不服審判所|被相続人名義の預貯金は請求人ではなく、被相続人に帰属する相続財産であると判断した事例(平成31年4月)|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0305020000.html#a115