審査請求人が売買により取得した建物の所有権移転登記の申請に際して納付した登録免許税について、建物の固定資産課税台帳の価格には取得日前に発生した著しい損耗が反映されておらず、納付額が過大だったとして、過誤納を理由に原処分庁に対し還付通知をすべき旨の請求をしたところ、同庁がそうすべき理由がない旨の通知処分をした。
請求人が同処分の全部取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、固定資産課税台帳の台帳価格が登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えているとして、固定資産評価基準に基づき時価を算定すべきだとし、処分の全部を取り消した。2月20日付裁決。
審判所は、課税標準の基礎となる台帳価格が何らかの理由で建物の時価を表していないといった事情がない限り、登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項に規定する不動産の価額は、基本的には台帳価格によるべきだが、本件台帳価格は、当該価格が付された時点において建物に既に生じていたと推認される損耗の事情が考慮されていないとし、登記に係る課税標準たる不動産の価額について、台帳価格によるのは相当ではなく、改めて損耗の事情を考慮して固定資産評価基準の定める評価方法に従って価額を算定し、不動産の価額とすべきだとした。
■参考:国税不服審判所|財産評価基本通達に従って評価すべきで、不動産鑑定評価額に合理性が認められないとした事例(一部取消し・平成31年2月20日裁決)
http://www.kfs.go.jp/service/MP/07/0101000000.html#a114