医薬品等の製造売買等を行う法人である請求人は、Ⅴ医薬品の共同開発契約書に基づき支払った一連の負担金を試験研究費として損金に算入した。
原処分庁は、片方の契約当事者(親)は単独で開発を進めて承認の申請に必要なデータを取得した一方、請求人はその提供を受ける側であり、研究費に計上された金額は、親が開発してきた成果の開示と利用、将来発生すると見込まれる業務等に支出したものと認められ、繰延資産に該当するなどとして更正処分を行い、請求人はその一部の取消しを求めた。
審判所は、請求人が、親が開発の過程で得た資料及び情報の提供を受けてⅤ医薬品の承認申請書を完成させたとし、負担金はいずれも、法人税法施行令第14条にある「役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用」に該当するとした。また、当該成果の提供を受けて完成された承認申請書は、承認の取得により対象製剤が製造販売されて収益を生み出すことができる性質を有するものであって「支出の効果」と解すべきとした。さらに、承認を受けた者は、その取得後5年ごとに厚生労働大臣の書面による調査等を受けなければならないことを鑑みれば、負担金の支出の効果が1年以上に及ぶことは明らかであり、当該負担金は繰延資産に該当すると判断した。
■参考:国税不服審判所|共同開発契約に基づいて支払った負担金は、役務の提供を受けるために支出する費用で、支出の効果が1年以上に及ぶことから繰延資産に該当するとした事例(棄却、一部取消し、平成30年10月10日裁決)|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204060000.html#a113