審査請求人が平成26年分の所得税等について、収入の計上誤り等を理由とする更正の請求をしたところ、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分を行うとともに、請求人の子らの名義で賃貸された土地の賃料に係る収益は請求人に帰属するとして更正処分等を行った。
請求人が各処分の一部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は不動産所得(駐車場の賃料)の帰属について、使用貸借契約等が有効に成立したとは認められず、収益は貸主名義(子らの名義)にかかわらず、土地の所有者である請求人に帰属するとし、請求を棄却した。30年10月3日付裁決。
審判所は▽各使用貸借契約と各贈与契約は、各土地の所有権を請求人に留保したまま、使用収益権原のみを相応の対価を発生させることなく請求人の子らに移転する方法と認められる▽請求人は原処分調査で、各契約書について一貫して知らない旨申述しており、各契約書の作成事実を認識していなかったと認められる▽一連の取引は、請求人の子から相続対策の相談を受けていた税理士法人が企図し、各契約書の書式も同法人が作成したものと認められる―などからすると、請求人は各契約書の内容を確認することがなかったため、内容を全く認識していなかった可能性が高いと判断した。
■参考:国税不服審判所|他人名義による不動産の貸付における実質所得者課税(平成30年10月3日裁決・棄却)
http://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0103010100.html#a113