政府は中小企業の円滑な事業承継を後押しするため、経営者に対し企業債務の個人保証を求めない仕組みづくりに着手する。新たな指針「個人保証脱却・政策パッケージ」を示し、6月にまとめる成長戦略「未来投資戦略2019」に盛り込む。
報道によると新指針では、商工中金の融資は経営者個人への保証を無保証化する。また、税理士、中小企業診断士ら専門家が事業者と金融機関の間で経営者保証の解除に向けたスキームを構築。その上で企業の信用保証協会の保証料を最大でゼロ(管理費を除く)とする。優遇税制などの支援策で中小企業の間では親族内承継が進んでいるが、企業にとっては経営者の個人保証が重荷になっている。特に経営者が代替わりしたあとも新旧経営者に保証を求める「二重徴求」が円滑な事業承継の妨げになっていることから、新指針ではこれを原則禁止する。さらに、民間金融機関には個人保証に頼らない融資の拡充を要請。中小企業の資金繰りの透明性向上も支援する。
中小企業の事業承継時に、個人保証で多額の借金を背負うことへの懸念から後継者が決まらず、廃業に追い込まれる事例が近年目立つ。政府は、中小企業の廃業が急増すれば、雇用と国内総生産(GDP)に重大な影響があるとみている。
■参考:政府|成長戦略実行計画案|
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai28/siryou1.pdf