正式な用語ではないが、人相・手相・家相等と同様に「店舗の相」(ここでは、店舗の建物形状・色彩・材質・屋根、看板類のデザイン等を観察して、店舗の盛衰を探る事)について少し考えてみたい。商店街の視察や立地調査等の際にいつも思うが、店舗の相が経営の良否を判断する上で大きな要因になっている事だ。「メラビアンの法則」にある通り(人間の表情・身振りによって相手の印象は55%決まるというもの)、店舗への印象も見た目がお客の評価に大きく影響する。
以前、商店街で老舗の某玩具店を店舗診断した時の話である。売上が年々下がって(客数減少)、困っていると言う。店頭に立って店舗を眺めると、建物や店頭看板は重厚な構造であるが、色彩は目立たない地味なイメージであった。その時フト思った事は、幼児や小中学生が果たして注目して、しかも喜ぶ店舗デザインかという疑問だった。店主と話し合ってみると、店主も以前から同じ点に気づき、気にしていたと言う。その後、店舗改装によって建物外装を明るい色彩にし、看板類を現代風の字体に変えたところ、客数が徐々に回復した。店舗の相は固定的に考えず、建物や看板等の外見を流行やお客の嗜好等に合わせる事が、商売繁盛の大きな要因になるようだ。