Weeklyコラム 中小企業社長の生きがい

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働き方改革に関する公的機関の委託調査でX社(自動車部品製造、社員30人)のA社長と面談した。A氏は60年前に北海道の中学を卒業して、東京の町工場に就職し、金属加工の技能を身に付けた努力家である。

後に、A氏が会社を立ち上げた時、自分が修業していた会社の社長は本当に従業員の面倒見が良かった事を痛感した。技能や礼儀作法の教育を徹底し、従業員家族の事まで相談に乗っていた。また、高度経済成長期に職場の仲間が次々に独立したが、技能を持った従業員が定着しないため経営破綻する者が多かった。A氏は経営者仲間から古い経営体質と言われても、従業員を家族の一員と思い、仕事に関係ない事でも相談に乗ってきた。X社は従業員の定着率と技能が高く、事務員以外は全員が技術者のような会社になったと言う。

45年間に2回の倒産危機があったが乗り越え、現在はベトナム人3名が技能を習得しつつあり、数年後にはベトナムに現地法人を立ち上げ、共同経営者としてずっと付き合う予定だ。また、A氏には20年間一緒に働いてきた優秀な後継者(長男)がいて、その後継者もA氏と同じ経営理念で経営を引き継いで行くそうである。X社の規模は大きくないが、生きがいのある会社を経営している。