協会けんぽ31年度保険料率 黒字でも予断許さぬ財政構造

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昨年開催された第94回全国健康保険協会運営委員会において平成31年度保険料率(医療分)の検討資料が発表された。

各都道府県支部評議会の意見書では、平均保険料率10%を「維持するべき」としたのは18支部、「引き下げるべき」6支部、両方の意見のある支部は13支部、平均保険料率に対しての明確な意見なし1支部、意見書の提出がなかった支部は9支部であった。協会けんぽの平成29年度決算は収入が9兆4,998億円であり4,486億円の黒字、準備金残高は2兆2,573億円となり、医療適正化のための取組、日本年金機構における被保険者適用拡大、後期高齢者支援金の総報酬割への移行などの効果が認められる。

一方で医療費の伸びが賃金の伸びを上回る赤字構造に加え、団塊世代が75歳となる2025年には後期高齢者支援金等の規模は拡大する。それらの状況を踏まえ5年収支見通し等の財政状況シミュレーションを行った結果、現在の保険料率10%を維持した場合は数年後には準備金を取り崩すこととなり、予断を許さない状況にある。

平成30年度から本格実施されるインセンティブ(報奨金)制度(※平成32年度より保険料率反映)による財政状況の変化も今後注視する必要がある。

■参考:全国健康保険協会|第96回全国健康保険協会運営委員会資料 |

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat720/h30/dai94kaiunneiiinkai/301121?PC=ON