厚生労働省は先般、2040年の就業者推計を公表した。日本経済がゼロ%成長に近い状態が続き、女性や高齢者らの労働参加が進まない場合は、就業者が17年の2割減である5245万人になると試算している。
同省では継続的な人材の確保・定着、生産性の向上等の観点から就業者のがん、脳卒中などの疾病による離職防止のため、「治療と職業生活との両立支援」を急いでいる。特にがんにおいては治療技術の進歩等により、「不治の病」から「長く付き合う病気」に変化した。がん患者の約30%は就業可能年齢(20歳~64歳)で罹患している。その中でがん治療をしながら就業する者は28万人を超えている反面、診断後に離職したがん患者は34%に上る。厚生労働省「がん患者のおかれている状況と就労支援の現状について」によると、がん患者が離職する理由として治療を受けにくい、疾病に対する知識不足、職場の理解・支援体制不足が主として挙げられる。
同省は治療と職業生活の両立のための意識啓発研修や治療しやすい休暇制度、テレワーク等の社内制度の整備等適切な就業上の措置を導入する中小企業に『障害者雇用安定助成金』を支給している。治療と就業の両立により労働力人口減少の対策としたい意向だ。