郵便事業株式会社に対して弁護士法23条の2第2項に基づき原判決別紙の照会をした被上告人(弁護士会)が同社を吸収合併した上告人に対し、同照会について報告義務があることの確認を求める事案で、最高裁第二小法廷は原判決を破棄し、別紙の照会についての報告義務確認請求に係る訴えを却下した。
原審は確認請求に係る訴えが適法であることを前提として、請求の一部を認容し、その余を棄却した。最高裁は照会の制度について▽弁護士の職務の公共性に鑑み、広く公私の団体に対して広範な事項の報告を求めることができるものとして設けられたことなどからすれば、弁護士会に相手方に報告を求める私法上の権利を付与したものとはいえず、報告を拒絶する行為は当該弁護士会に対する不法行為を構成しない▽23条照会の相手方に報告義務があることを確認する判決が確定しても、弁護士会は専ら相手方による任意の履行を期待するほかはない―と指摘。
相手方に報告義務があることを確認する判決の効力は、報告義務に関する法律上の紛争の解決に資するとはいえないから、弁護士会に上記判決を求める法律上の利益はないというべきであり、照会をした弁護士会の当該訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法であるとの判断を示した。
■参考:最高裁判所|損害賠償請求事件(平成30年12月21日・第二小法廷・破棄自)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88205