高齢化が急速に進展する中、円滑な世代交代を促すために個人事業者の相続税・贈与税の新たな納税猶予制度が創設される。現行の事業用の宅地に加え、事業用の建物及び一定の減価償却資産が対象。猶予割合は100%とするほか、生前贈与にも適用可能とする。
制度は平成40年までの10年間の特例措置で、現行措置との選択適用となる予定。相続人または受贈者に死亡、身体障害、破産や資産の譲渡・廃止等があった場合には猶予税額の一部または全部を免除する。相続人は、円滑化法の規定による認定を受け、承継計画に記載された後継者であることが要件。受贈者は、推定相続人以外でも、贈与者がその年1月1日に60歳以上であれば相続時精算課税の適用が受けられる。いずれも節税的な利用を防止する要件を設けるほか、円滑化法における遺留分に関する民法の特例が制度の対象資産に適用されるよう検討が求められる。
事業用の小規模宅地特例について、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等を適用範囲から除外した上で、○相続後短期間で資産売却が可能であること、○債務控除の併用等による節税の余地があること、○承継する者以外の相続人の税額に効果が及ぶなどの課題を踏まえ、事業承継の支援という制度趣旨を徹底させていく。
■参考:財務省|平成31年度税制改正の大綱(平成30年12月21日閣議決定)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2019/20181221taikou.pdf