Aに対して約37億6千万円の損害賠償債権を有する被上告人が詐害行為取消権に基づき、上告人Y1に対しては、AがY1から株式を代金1億6,250万円で購入する旨の契約の取り消し・受領済みの代金相当額とこれに対する訴状送達の日の翌日からの遅延損害金の支払いを求め、上告人Y2に対しては、AがY2に1億2千万円を贈与する旨の契約の取り消し・受領済みの贈与金相当額とこれに対する訴状送達の日の翌日からの遅延損害金の支払いを求めるなどしている事案で最高裁第二小法廷は各上告を棄却した。
原審は、上告人らの被上告人に対する各受領金支払い債務につき各訴状送達の日の翌日からの遅延損害金の支払いを命じた。上告人側は、受領済みの金員相当額の支払い債務は、詐害行為の取り消しを命ずる判決の確定により生ずるから、確定前に履行遅滞に陥ることはない旨主張。
最高裁は、受領金支払い債務は履行の請求を受けた時に遅滞に陥ると解するのが相当とした上で、被上告人は上告人らに対し訴状をもって各詐害行為の取り消しとともに、各受領済みの金員相当額の支払いを請求したのだから、各受領金支払い債務についての遅延損害金の起算日は、各訴状送達の日の翌日になるとし、原審の判断は是認できるとした。
■参考:最高裁判所|旧取締役に対する損害賠償,詐害行為取消請求事件(平成30年12月14日・第二小法廷・棄却)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88184