銀座のクラブでのホステスのアルバイト経験を問題視、大手テレビ局が女子学生の採用内定を取り消した事案は訴訟に発展している。最高裁では、学生などの求職者が企業に労働契約の申込みを行い、それに対する採用内定通知はその申込みに対する承諾であり、求職者が提出する誓約書などに記載された採用内定取消し事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したものとしている。つまり、採用内定取消事由以外の事由での内定取消しは解雇と同様になるため、注意が必要だ。
これまでの判決では、採用内定当時知ることができない事実により採用内定を取り消すことが客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と是認できる場合に限り、採用内定の取消しが認められるとしている。
経営者が予想もしなかった過去をもつ学生も昨今少なくないだろう。ホステスがダメならホストのアルバイトはどうなのか、風俗店の呼込みはどうなのか。バーはよいが、ガールズバーはダメなのかといった問題もでてくるだろう。実は前科がある、不起訴処分になったため前科はないものの、逮捕されたことがあるなどの事態も起こりうる。いずれにせよ、「思わぬ過去があったから」といった安易な理由での内定取消しは謹んだ方がいいだろう。