所有者不明の土地が現在400万ha以上あるそうだ。その原因は数々あるが、ここでは相続を原因とする場合を中心に考える。例えば、近年親族間の交流が薄れて相続が開始した事又は自分が相続人になった事に気づかない、遺産分割は終了したが登記費用が高いので相続登記をしない、土地の売却価格が安い為(又は売却や貸与の可能性が低い)放棄をする相続人が相当いる、等が考えられる。
さらに、根本的原因を探れば、戦後の民法改正で子供の相続分が平等になった事である。それまでは、長子が相続して登記や管理に全責任を負っていたが、現代は遺言が無ければ平等である。つまり、相続人の中に主導権を持つ者がいない可能性がある。また、生涯未婚者や高齢者の一人暮らしが増加して、老後の世話をする人が全くいなかったり、相続人が不存在になったりする。他にも、農業従事者が激減して農地を相続・管理出来る人が少ない、等がある。
防止策は難しいが、いくつか考えられる。(1)土地贈与の税制等に特例を設け、簡易手続きで生前での贈与や寄付を可能にする(2)国が遺言の普及を積極的に進め、生前に土地の行き場を決めておく(3)相続税、不動産登記、関連行政機関が連携して情報の一元管理をする、等。