Weeklyコラム 徳のある経営者

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商店街の会長や会社の社長等に、始めて接した時によく経験する事である。「この人は大勢の異なる意見をすべて受け入れて、最後は皆が納得して付いて来る」と。これが人間の徳であると感心してしまう。

『大学』(金谷治訳注、岩波文庫)に、「富は屋を潤(うる)おし、徳は身を潤す。心広ければ体も胖(おおい)なり」とある(財産ができると家屋もその恩沢をうけるように、内に徳ができると人の身体もその潤いを受ける。心が公明正大であると肉体もおおらかになる)。このような人には、皆が尊敬する徳があると思ってしまう。

ところで、「人の徳」はどのように形成されて、どんな内容なのか(三省堂国語辞典;徳とは、心が正しくて、おこないが人の道にあっていること)。

筆者は徳の習得を次のように考える。(1)広い見地で物事を判断する事を心掛け、その為の知識や体験を積極的に習得する努力をする。学問修養を積む為に、書物や経験等から学ぶ姿勢を明確に持つ。(2)正しい物事の思考法を習得する。例えば何か観察したり判断したりする時、一面だけではなく、大局的見地から長い目で見るという態度である。(3)怒り・不安・恐怖・軽蔑・激情等の言葉や表情は人を遠ざけ、笑顔・温和な表情等には人が寄って来る事を承知している。