Weeklyコラム 大災害に備える

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吉村昭著『三陸海岸大津波』(文春文庫)を読む機会があった。それによると、死亡者数が明治29年の大津波は約2万6千名、昭和8年の大津波約3千名、昭和35年のチリ地震津波約1百名だった。

そして、何度も大津浪を体験した老人の言葉を紹介している。「津波は、時世が変わってもなくならない。必ず今後も襲ってくる。しかし、今の人たちは色々な方法で十分警戒しているから、死ぬ人はめったにないと思う」と。ところが、平成23年の東日本大震災で、またも甚大な被害を受けてしまったのである(死亡者・行方不明者計約1万9千名)。

さて、今や大地震・大噴火・風水害・テロ等その他のリスクを想定した「事業継続計画」(BCP:Business Continuity Plan)が一層注目されている。しかし、中小企業においては計画策定に取り組む優先順位が必ずしも高くない。3年前、某会社の工場新設会議でBCP策定を提案したが、「今のところ発生の緊急度が低く、政府が対策を強化しているから、何とかなるのでは」という発言で立ち消えになった。最も一日延ばしになる対策かもしれない。その後、この案件を再度提案したが、時間と予算の制約があるので、BCPの研修会や策定メリットの勉強会等をしている。