増える人手不足倒産 待遇改善が不可欠に

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東京商工リサーチの調べでは、平成20年に15,646件の倒産件数を記録して以降、9年連続して前年を下回っている。景気の回復に伴い企業倒産は現在低水準で推移しているが、ここにきて目立ち始めているのが人手不足倒産だ。

これは業績や資金繰りの問題ではなく、「後継者難」という人手不足と現場における人手不足感が解消されない「求人難」をその原因とする倒産だ。同社の調査によると、29年における求人難型の倒産は対前年比105.8%増で倍増したことがわかった。各企業においては、いかに人手を確保するかが大きな経営課題となっているようだ。

厚生労働省の29年分の毎月勤労統計調査を見ると、現金給与総額は対前年比0.4%増となっているが、消費者物価が0.6%増となったので、実質給与は0.2%減少となっている。各企業の賃上げが物価上昇に追いつかない現状が明らかになっており、低額の賃上げでは物価上昇に追いつかないのが現在の日本の状況だ。足りない人手はより高待遇の企業に流れる。採用に苦戦する企業は、旧態依然とした生産性の低い職場環境を改善し、よりよい待遇に改善することが求められている。働き手に満足感を与える職場作りをしなければ、人手不足の解消は進まないだろう。