マタニティ・ハラスメント 慎重な取扱いが必要

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理学療法士の女性が妊娠中の軽易な業務への転換に際しての降格が違法であるとして争っていた裁判で、最高裁判所は適法としていた高裁判決を破棄し、審理差戻しの判決を下した。

会社が従業員の妊娠や出産について不利益な待遇をするマタニティ・ハラスメントが近年増加しているが、そのような取扱いは男女雇用機会均等法違反となる。

しかし、業績の悪化や単純に事業主の考え方やこれまでの慣習に固執するあまり、そのようなトラブルは枚挙にいとまがない。今回の判決では、「自由な意思に基づく明確な同意、または業務上必要で女性労働者の仕事の充実という同法の目的に反しない特別な事情がなければ違法」との判断をした。また、女性が降格等の措置を「渋々ながら受け入れた」ことは明確な同意ではないともしている。つまり安易に「同意を得た」と考えていると、その後にひっくり返される可能性が高いということになる。同意を得たことを証明するために、仮に一筆取ったとしても、「自由な意思に基づく」かどうかといった本質的な部分が問われることになる。マタニティ・ハラスメントについては社会の目も厳しくなっており、この事案でも病院を運営する事業体名が報道されている。慎重な取扱いが必要だろう。