別除権の行使は可能 留保所有権―最高裁、上告棄却

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自動車販売会社から車を購入した者の売買代金債務を連帯保証した被上告人が、保証債務の履行として販社に売買代金残額を支払い、販社に留保されていた車の所有権を法定代位により取得したと主張して、残額支払い後に破産手続き開始の決定を受けた購入者の破産管財人(上告人)に対し、別除権の行使として車の引き渡しを求める事案で、 最高裁第一小法廷は原審に続き上告を棄却、上告人の敗訴が確定した。

上告人は、破産手続き開始の時点で被上告人を所有者とする登録がされていない以上、被上告人が留保所有権を別除権として行使することは許されないと主張。最高裁は、購入者・販社間で所有権が販社に留保される旨の合意がされ、代金債務の保証人が販社に保証債務の履行として残額を支払った後、購入者の破産手続きが開始され、開始の時点で販社を所有者とする登録がされている時は、保証人は上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使できると解するのが相当だとした。

その理由として▽破産手続き開始の時点において販社を所有者とする登録がされている車は、所有権が留保されていると予測し得る▽留保所有権の存在を前提として破産財団が構成されることで、破産債権者に不測の影響が生ずることはない―などと説示した。

■参考:最高裁判所|自動車引渡請求事件(平成29年12月7日・最高裁判所第一小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87283