金融庁が公表した全国の地方銀行・第二地方銀行に埼玉りそな銀行を加えた106行の2017年9月中間決算(単体)の概要によると、本業のもうけを示す実質業務純益の合計額は前年同期比14.6%減の6,553億円となり、2年連続で減少した。
日銀のマイナス金利政策を背景にした預貸金利ざやの縮小が響いた。金利収入などの資金利益の合計は0.7%減の1兆9,295億円と2年連続で2兆円を割り込んだ。9月末時点の貸出金残高は255兆円と前年同月末から約9兆円増加。貸出金の増加傾向は続いているが、貸出金利の低下が利益を圧迫した。純利益の合計は前年同期比2.8%増の6,026億円。本業の収益は厳しいものの、株式の売却益が増え、増益を確保した。
全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は11月半ば、記者会見で「今後も極めて緩和的な市場環境が続けば、地域金融機関の基礎体力が徐々に奪われていく」と懸念を表明。収益悪化に苦しむ地域金融機関は統合・再編を模索しているが、公正取引委員会はこうした動きに難色を示しているといわれる。
中曽宏日銀副総裁は最近の講演で、「金融機関の統合・再編は金融システム全体の安定性や効率性を高めるのに有効だ」と述べ、間接的ながら、公取委の姿勢をけん制した。
■参考:金融庁|主要行等の平成29年9月期決算の概要|
http://www.fsa.go.jp/news/29/ginkou/20171201-1/01.pdf