とにかく人件費削減が至上命題となっている経営者も少なくないだろう。最低賃金はどんどん上がり、その上、雇用にかかる法定福利費の増大は 目に余るという声も多く聞かれる。そのような状況下、違法な派遣要請を行う企業が後を絶たない。
これは、たとえば小売店で製造メーカーなどに社員を店舗に派遣するよう要請し、そのメーカーの商品の販売のみならず、その他の一般的な業務を行わせるというものだ。派遣要請にあたって、小売店がその者の人件費を負担することはない。小売店からすればその分の人件費が浮くことになる。実際、この手の話は枚挙に暇がない。上場するような大手広告代理店の現場を見ても、外注先である中小のプロダクションから派遣された職員が普通に働いている。もちろん、その分の人件費は負担しない。
この問題は、派遣要請する企業と要請される企業間では「慣例」として割り切っている部分があるのも事実だが、昨今、そのような「大人の事情」を割り切れない現場社員による告発も頻発している。業務の実態次第では、二重派遣として職業安定法違反に問われる可能性もある。そうなる と告訴されかねない事案だけに、派遣要請する側もされる側も法律に則った慎重な対応が求められる。