金融庁は、行政運営の方向性を示す「金融行政方針」を公表。低金利や人口減少で地方銀行などの収益が悪化する中、将来の健全性が不安視される地銀などに対し、より早く経営改善を促せる制度・監督の運用を見直す。
地銀が持続可能なビジネスモデルを構築できなければ「十分な金融仲介機能を発揮できず、地域経済に多大な悪影響を与えかねない」。財務内容に問題がなくても、持続可能性に問題があれば、立ち入り検査を実施する。同庁は従来、自己資本比率が4%を下回った場合の「早期是正措置」や、自己資本以外の収益性などに問題があれば経営改善を促す「早期警戒制度」を活用し、地銀の健全性を維持してきた。これらの制度運用や監督手法について新たな枠組みを検討する。
地銀再編をめぐっては、公正取引委員会が同一県内などに事業基盤を置く銀行同士の経営統合について寡占化の弊害を懸念し、審査が長期化するケースが相次いでいる。 同庁は地域での競争のあり方を改めて検討。また、地銀に対する事業再生支援など地域経済への貢献度を示す新指標を導入する。金融仲介の発揮状況を表す客観的な指標群(KPI)を選定・公表し、金融機関の取り組みの「見える化」を図る。企業などが金融機関を選ぶ際に活用されることを想定し、競争を促す。
■参考:金融庁|平成29事務年度 金融行政方針について|
http://www.fsa.go.jp/news/29/20171110.html