近くに大型スーパー等が出店して歴史のある商店街が衰退しているが、どんな生き残り策があるだろうか。大抵の商店街が大型店対策として、年末年始やボーナスあたりで売出しをしたり、接客を簡略にしてセルフサービスにしたり、バレンタイン・ひな祭り・クリスマス等の飾り付けも毎年大型店と同じような手法で実施したりする。結果、顧客は商店街を素通りして、大型店で商品やサービスを購入するのである。
ところで、植物は居場所を分け合っているそうだ。ある学者はこんな風に述べている。「木々が生い茂っているように見える森も、森の上の方に葉を茂らせている高い木と、森の下に広がる空間に葉を広げる低い木、そして、森の底で木漏れ日を受けながら生えている草、というように空間を棲み分けている」(稲垣栄洋著『植物はなぜ動かないのか』ちくまプリマー新書)。
商売には多かれ少なかれ「すきま」があるように、大型店と商店街の間には住み分けのアイデアが有効と思われる。例えば、商店街は大型店でまとめ買いが難しい時期(給料日直前)にイベントをしたり、住民の生活様式や言葉遣いに合った接客をしたりすることが大切ではなかろうか。その他、品揃え(地元製品等)や売り方(配達やネット販売等)による住み分けも有効であろう。