事業でも人間育成でも、成功した要因が何であったのかを掴む事は容易ではない。しかし、失敗した要因が何であったかを掴む事は比較的容易であり、失敗した事が不思議である事は少ないものだ。成功から学ぶ事よりも失敗から学ぶ事の方が多いのは、このような事が原因かもしれない。
先ず、成功と失敗の分かれ目はいつか。何事も最初が肝心と言われる。子供の教育であれば、小中学校までの人格形成や知能教育が特に大事と言われる。多数意見に従えば、人間の徳性・性格・素養等は、17歳から18歳頃までに大方決まるのであろう。商売の創業も同様で、立ち上げて2年から3年経てば、将来の成否がある程度予想出来るものだ。将来にあまり見込が持てなくても、大抵の人は資金が続く限り大きな方向転換が中々出来ないのである。
現在、国や地方自治体等による創業支援は活発であるが、むしろ創業後のアドバイス(経営成績の分析や方向転換の指導)が不足しているように思われる。相談・研修等においても、成功事例よりも失敗事例の紹介と対処法等に重点を置くべきであろう。事業に成功していない人の多くは、大きな失敗を体験していない。他人の失敗事例で対処法を学ばない限り、自分の体験だけでは有効な改善が出来ないかもしれない。