株式購入の為替差損益は所得 外貨預金活用―申告漏れに注意

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居住者が外貨建て預金を払い出して株式等を購入した場合の税法上の扱いについて、現行の法令には明確な規定がないが、税務当局は購入価額の円換算額と、購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートで円換算した金額との差額(為替差損益)を所得とみなすようだ。

実務上申告不要との判断から、申告漏れが生じるケースが散見される。注意が必要だ。この問題を考える上で参考となるのは、国税庁の質疑応答事例「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して貸付用の建物を購入した場合の為替差損益の取扱い」。外貨建て預金で貸し付け用の建物を外貨建て取引で購入した場合には、新たな経済的価値(その購入時点における評価額)を持った資産が外部から流入したことで、それまで評価差額にすぎなかった為替差損益が所得税法36条《収入金額》の収入すべき金額として“実現”し、建物の購入価額の円換算額と、購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートで円換算した金額との差額(為替差損益)が所得とされる。

株式を購入した場合や、日本円を米ドルに交換し、その後ユーロに交換した場合なども考え方は同様。株購入の場合は、購入価額の円換算額と、購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートで円換算した金額との差額が所得とされる。