厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は、今年の最低賃金の引上げ額は全国平均で25円、時給848円とする目安を提示した。目安額としては比較可能な平成14年度以降で最大となる。
最低賃金は都道府県単位で異なってくるため、時給848円はあくまでも全国平均の目安だ。都道府県を物価や所得水準等の指標をもとにA~Dランクに分類し、それぞれのランクごとに引上げ額が決まる。今年度については、東京などの大都市が入るAランクは26円、Dランクは22円で、そのまま実現すれば東京の最低賃金は958円となる。
政府は1億総活躍プランで最低賃金を毎年3%程度ずつ引き上げ、全国平均の時給を1000円にする目標を掲げている。今年度の引上げ率も3%だ。毎年確実に賃上げを迫られる企業にとっては、賃金を引き上げられた分だけ生産性を向上しなければ、単なるコスト増だけで終わってしまう。 多くの企業において、安い賃金や働いた分だけ支払わない未払いの悪習が経営にとって大きなメリットとなってきたのも事実だが、時代の流れはもうそれを許さない。景気の回復に伴う人手不足も叫ばれる中、時給1000円を払っても成立するビジネスモデルへの転換を迫られているようだ。