不動産市況:強まるマンション志向
図表は、全国の住宅の「建て方」別の戸数の推移と、その中で共同住宅の占める割合の推移を示したものである。
30 年前は一戸建て住宅が大半で、アパートやマンションなどの共同住宅は全体の3 割足らずだったが、社会構造の変化もあり、共同住宅の比率は、一貫して伸び続けている。地価の高い大都市への人口集中、高齢化の進行による利便性や防犯意識の高まり、少人数世帯の増加などが背景にあり、共同住宅への志向は強まっている。
阪神・淡路大震災の際、マンションの低層階が押し潰されたシーンが度々放映され、一時、戸建て志向が強まったが、今では耐震の面からもマンションへの安心感が強い。
今月の視点:不動産の売り時はいつなのか
先月、7 月1 日時点の基準地価が発表された。まず、その概要を振り返ってみたい。
・全国平均では住宅地・商業地ともに下落が続いているが、下落率は縮小が継続。
・三大都市圏平均では、住宅地が上昇に転じ、商業地は昨年同様、上昇率が拡大。
・地方圏の平均では、住宅地・商業地ともに下落率が縮小。
・上昇地点数の割合は、全国的に増加。特に三大都市圏では、住宅地の1/2 弱、商業地の2/3 強の地点が上昇。
・地方圏では、上昇地点は増加しているが、8 割弱の地点で下落、との結果だった。
さて、ここ1~2 年の地価に関する「上昇地点が増加」との発表や、オリンピックの開催決定もあり、「不動産価格はこれから上昇するのでは?」と考える人が増えている。そのせいか、売却が必要になった売主からも、「もう少し待ったほうが、高く売れますか?」との問い合わせが増えている。
正解は、不動産の種類や立地・利便性、大きさや周辺環境によって異なるが、大都市圏や地方中核都市の一般的な住宅地は、今がピークに近いし、既にピークを過ぎてしまったエリアもあるとの見方が多い。
中古マンション価格は、現在、堅調だが、これは需要に対して供給が少ないからである。土地の場合、売り出した際に購入希望者が何人現れるかで、今の価値がよく分かる。
(情報提供:ネットワーク88)