昨今、毎年恒例のようになっている日本年金機構による算定基礎届提出時期の定時決定(算定)時調査だが、色つきの呼出状をもらった企業としてはあまり気持ちのいいものではないだろう。不正の事実がなくても、要求された資料を取り揃え、指定された期日に最寄りの年金事務所に出頭しなければならないのでは、実務的にもそれなりの負担になる。
社会保険料の負担を逃れたい企業では様々な手法でなんとか社会保険の加入を逃れようとするケースも散見されるが、発覚するリスクは年々高まっていると言えるだろう。現状、日本年金機構は国税庁から年に2回、源泉徴収を行っている企業のデータの提出を受けているが、今秋をめどに毎月の提供に変更される予定だ。
社会保険加入を逃れたい企業では、社会保険に加入している社員とそうではない社員の賃金台帳や源泉所得税の納付書を別に作成することがある。年金事務所には社会保険に加入している社員の資料のみを提出することにより、調査の目をすり抜けようとするわけだ。 しかし、前述のように税務データの提供が進めば、それもすぐに発覚することになる。加入漏れが発覚すれば、最悪の場合2年遡及して加入させられる可能性がある。不正行為は厳に慎むべきだろう。