企業会計基準委員会が検討している税効果会計に関する適用指針のうち、大きな論点となっているのが開示の取扱いだ。従来の開示項目に加えて新たに追加する候補として取り上げられているのは(1)評価性引当額の内訳(2)税務上の繰越欠損金に関する事項(3)税法改正による影響額であるが、このうち(3)は開示しない方向であることがわかった。
これまでの同委員会の審議では、財務諸表利用者が当年度の税負担率から一過性の原因により生じたものを除いて将来の税負担率を予測する場合、税率の変更による影響だけではなく、当該影響を含む税法の改正による影響を考慮する必要があると考えられることから、税率の変更による影響を含む税法の改正による影響を開示することがより有用な開示情報になるとしていた。
しかし、税法改正の内容を開示する場合には、繰延税金資産及び繰延税金負債に重要な影響を与えるものを特定した上で、税法の改正を考慮していないことを前提にした繰延税金資産を算定する必要があり、特に在外子会社の税制は多様であるため当該算定が難しいなどの反対意見が寄せられたことを受け、税法改正による影響額については追加すべき開示項目の候補から除外することとしている。