相続により取得した宅地を敷地とする建物の1階部分に弟が、2階部分に兄が居住。1階と2階はそれぞれが独立して居住の用に供することができる設備・構造を備え、区分登記されていた。被相続人の生前、兄は1階に居住する被相続人と弟の面倒をみていた。このような場合、宅地全体(宅地のうち1階部分の敷地に相当する宅地で、弟が相続した分以外の部分)に租税特別措置法(改正前)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》を適用できるか否かが争点となった事案で、
国税不服審判所は、被相続人が居住していた建物の区分所有に係る部分の敷地が被相続人の居住の用に供していた宅地に当たり、被相続人と生計を一にしていない者が居住していた建物の部分の敷地に相当する宅地は被相続人等の居住の用に供されていた宅地に当たらないと裁決。審査請求は理由がないとして棄却した。
特例について、建物が区分登記され、各々が独立して生活できる構造になっている場合、被相続人が居住していた建物の区分所有に係る部分の敷地のみが被相続人の居住の用に供していた宅地に当たるとした。実際の生活状況をみても、兄は被相続人と同居していた親族、または生計を一にする親族とは認められないとの判断を示した。
■参考:国税不服審判所|相続税の各更正の請求に対する各更正処分・棄却・平成28年9月29日)
http://www.kfs.go.jp/service/MP/12/0303000000.html#a104