審査請求人が、外国子会社に対する売掛債権を放棄したとして債権相当額を貸倒損失として損金の額に算入したところ、原処分庁が債権の放棄は仮装されたものだから算入できないなどとして法人税の更正処分等を行ったのに対し、請求人が同認定に誤りがあるとして一部取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、損失は法人税法上の寄附金に該当すると裁決、請求人の申し立てを認めた。
請求人は中国の子会社との間で、売掛債権の全額を放棄する旨の声明文を作成・交付。原処分庁はこれをもって債権を放棄したとは認められない旨主張。請求人は債権を放棄しているか否か、放棄した場合、損金の額に算入したことが国税通則法第68条第1項に規定する事実の仮装の行為に該当するか否かが争点となった。
審判所は▽債権の放棄に至る経緯等からみて、請求人は子会社を破産させることなく清算する必要から全額を放棄したと認めるのが自然。債権放棄は請求人の真意に基づき、声明文の交付をもって債権を有効に放棄したと認められる▽請求人が子会社の清算に伴う損失負担を行う理由は認められない。債権放棄に経済的合理性はなく、子会社の債務超過が相当期間継続した事実もない。債権放棄に係る損失額は法人税法上の寄附金の額に該当する―とした。
■参考:国税不服審判所|法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成28年4月14日裁決|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204160000.html#a103