代金債権は発生していない 原処分庁の主張を却下―審判所

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審査請求人の相続税について原処分庁が、被相続人名義の不動産の譲渡代金債権が課税価格に算入されるとして、更正処分および過少申告加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は28年6月28日付で請求人の主張を認め、処分を全部取り消す旨裁決した。

不動産に係る親子間の売買契約書が存在するが、相続開始時点では契約書記載の代金が支払われておらず、原処分庁は被相続人には代金に相当する債権がある旨主張。同債権の存否が争点となった。審判所は契約書について、実体を伴わない架空の内容を記載したものと認め、代金債権は発生していないと判断した。

審判所はその根拠として、▽契約書の作成に買主とされる子が関与していない▽所有権移転登記手続きは売買代金全額支払いと引き替えとされているが、代金の支払いはない。にもかかわらず移転登記が完了しているのは不自然▽子が請求人との間で作成した金銭消費貸借契約書記載の金員を受け取っておらず、その返済もしていない▽請求人および子の間では不動産の子の所有名義は便宜上のもので、真実は請求人が所有者であることを確認する旨の合意書が作成されている▽子の不動産所有者としての形跡がうかがわれない―ことを挙げた。

■参考:国税不服審判所|平成23年3月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・全部取消し・平成28年6月28日裁決)|

http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0302000000.html#a103