平成27年から事業承継税制の使い勝手が向上したことで、利用が大きく伸びている。同制度の認定件数は、平成21年から毎年およそ計150~200件の間で推移してきたが、27年は贈与税の納税猶予が272件(前年比5.8倍)、相続税の納税猶予184件(同1.2倍、推計値含む)に増加し、計456件(同2.3倍)となる見通しになった。経済産業省が29年度税制改正要望の資料で明らかにした。
27年分からの同制度の主な変更点は、1)親族外承継の対象化、2)相続・贈与前の雇用の8割を「5年間毎年」維持すべきとしていた条件を「5年間平均」維持に緩和、3)要件を満たせず打ち切りとなった際に、承継5年超で5年間の利子税を免除する等納税猶予打ち切りリスクの緩和、4)現経営者は贈与時に役員の退任が義務づけられていたが、代表者のみの退任で可となり有給役員として残留できる、5)現経営者の個人債務・葬儀費用を株式以外の相続財産から控除、の5点。27年分に1)の親族外承継がどの程度含まれているかなど詳細は示されていないが、改正が利用増に寄与したことは明らかと言える。29年度の要望でも小規模事業者に配慮した制度にするなどが明記され、将来的に認定件数が4ケタに乗ることもあり得る。
■参考:中小企業庁|平成29年度税制改正に関する経済産業省要望【概要】
平成28年8月経済産業省35P(参考2)事業承継税制の認定件数の推移
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2017/pdf/01_12.pdf