言葉には曖昧なものが多いが、「責任を取る」もその一つである。例えば、仕事上の責任を取るとは、その職務を遂行する義務と権利があり、その結果生じた問題を引受けることである。但し、問題が生じても、大抵は謝罪や修正によって済むものである。ところで、責任を取ることを拒否する人がいる。自分の職務内容をよく理解していない為、都合悪くなると自分の関知しない(責任が無い)職務と考えてしまう。
例えば、ある人が病院・施設・飲食店等に食材を配送する仕事をしていたとする。自分がしている配送業務は、注文に従ってピッキングされた商品を時間までに納品することで完結と考えていたとする。この時、納品した商品の種類・個数の誤りや納品漏れ等の苦情があっても、「ピッキングは倉庫で別の人がしている」等と逃げてしまう。一般に、職場は仕事を分担しているが、自分の仕事でなくても、内外を問わず責任を取ることもある。上司が、部下の仕事に対する結果責任を引受けることと同じである。
そもそも、職務能力が進歩して組織の内外から信頼される人は、仕事の結果(特にマイナス)を他人の所為にせず、組織上の過ちを繰り返さない注意をするものである。責任を取る人は他人から重んじられ、責任を取らない人は他人から敬遠される。