恒例の最低賃金引上げ論戦開始 議論の行方は?

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夏の風物詩になりつつある最低賃金の引上げ議論。今年も厚生労働省の審議会で議論が始まっている。政府はすでに、毎年3%程度最低賃金を引き上げて、将来的には時給1,000円にする目標を掲げている。実際の過去10年間の引上げ率を見てみると、2008年、2015年に2.3%、2010年に2.4%の引上げが実現しているが、2006年には0.7%、2011年も1.0%の引上げにとどまっている。現在の最低賃金は全国平均で時給798円となっており、これを3%引き上げるとなると822円(24円引上げ)となる。

審議会の議論では、中小企業への影響が大きいとして経営者側は慎重な姿勢を示しているが、労働組合側は大幅な引上げを主張しており、溝が埋まる気配がない。実際、従業員30人未満の企業における今年の賃金の上昇率は1.1%となっており、3%の引上げは経営への影響が大きいのは事実だ。

一方で、安倍首相は経済財政諮問会議において、3%の引上げに向けて最大限の努力を払うように厚生労働大臣、経済産業大臣にお願いしたいと表明するなど、引き上げられる方向で話が進んでいる。今月内には引上げ幅の目安が示される。審議会での議論の行方が気になるところだ。