国税庁は先般、27年度の査察の概要を公表した。27年度に着手した件数は189件。27年度以前に着手した査察事案の中で27年度中に181件を処理し、うち告発件数は115件で告発率は63.5%であった。着手から告発まで平均9か月の調査期間を要し、延べ155名を動員。検察庁との合同調査や、外国税務当局との連携により真相解明に至った例もあった。
27年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額138億円、うち告発分は112億円で、告発した事案の1件当たり脱税額は9,700万円であった。告発件数を税目別に見ると法人税が60%を占め、所得税が前年比6ポイント増の22%。脱税額を見ると法人税が同10ポイント減の51%となった一方、所得税は13ポイント増の28%。相続税は10%であった。
常に上位を占める業種のうち、建設業や不動産業では架空の経費計上、クラブ・バーではホステス報酬に係る源泉所得税を徴収しながら納付していなかった事例が多く見られた。マルチ商法や投資詐欺など事業活動自体に違法行為が含まれ社会問題化した業種についても積極的に告発した。
27年度中に一審判決が言い渡されたのは133件。すべてについて有罪判決が出され、実刑判決が2人に出された。
■参考:国税庁|平成27 年度 査察の概要|
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/sasatsu_h27/01.pdf