「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が平成28年4月8日、「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が平成28年4月6日それぞれ成立している。
前者の促進法は、需要を把握して後見人の担い手を育成するなど制度の利用を促すもの。また法施行後3年以内にさらなる法制上の措置を政府に求めている。後者の円滑化法は、家庭裁判所が認めれば、後見人が被後見人宛ての郵便物の配達を受けたり、被後見人の死後に火葬手続きをしたりできるように規定されている。
また、被後見人の死亡後の後見人の権限として、相続財産に属する債務の弁済などを設けている。更に現行の枠組みのままでは被後見人の意思を反映しない運用が行われる懸念もあり、参議院では、「成年被後見人等の自己決定権を最大限に尊重する体制を整備するとともに、不正防止の観点からも、成年後見人等の事務の監督体制の整備、具体的には家庭裁判所、関係行政機関、地方自治体等の人的体制の整備を十分に講じること」等の趣旨の附帯決議が採択された。
成年後見制度を巡っては、後見人による財産の横領(2014年は被害総額56億円。最高裁調べ)や、被後見人の意思を無視した居所指定など不適切な運用等が問題となっている。
■参考:参議院|成年後見制度の利用の促進に関する法律案:参議院|
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/190/meisai/m19005190020.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/190/meisai/m19005190021.htm