商品を掛けで仕入れて代金を支払うこと(買掛金の決済)は苦労であるが、反対に商品を他所に卸して代金を頂くこと(売掛金の回収)もなかなか難しいものである。
商売は売上を獲得する努力が仕事であるが、正確には売上代金を現金・手形・小切手等によって回収して成果となる(手形・小切手は不渡りにならないことが条件)。商品は売れることが大事であるが、最終的に回収しなければ全く意味がない。意味がないどころか、回収出来なればその売上は害がある。
例えば、売上の1割が利益とすれば、10万円の焦げつきは100万円の売上成果を失う計算になる。回収不能は本当に怖い。一般に、売掛金の確実な回収には、主として次のような準備と対応策をとる。(1)継続的な掛け販売に当たっては必ず信用調査を実施する(2)前以て取引条件を明確にした契約書を交わし、万一の場合の証拠を残す(3)相手の信用が低い場合は、保証金や保証人を求める(4)売掛代金の消滅時効に注意し、日頃から請求・差押・仮差押・承認等の時効中断事由を承知し、内容証明郵便の作成と効用に精通する(5)日頃から取引の証拠を残す。また確実な執行に備えて公正証書を作成することや、回収の法的手段に備えて法律専門家に相談出来る体制を整える、等。