中小企業庁はこのほど、2016年版中小企業白書を公表した。中小企業基本法の制定以降、53回目の年次報告。第1部では、国内市場の縮小や労働力人口の減少等に直面する中小企業の動向を踏まえた上で、労働生産性の高い中小企業の投資行動や資金調達等を分析している。
第2部では、生産性が高く「稼げる」中小企業の取組として、IT投資による営業力・販売力の強化や業務プロセスの合理化・意思決定の迅速化を取り上げ、理美容店がPOS導入による顧客データの収集を行い、繁閑状況・リピート率等の見える化で売上を拡大した事例を紹介。また、マーケティングを進め海外展開を高収益につなげる中小企業が一定数いるとして、高速バス会社が訪日外国人を対象にした商品企画でインバウンド需要を獲得した事例を挙げている。さらに、災害の頻発やIT導入に伴う情報セキュリティの必要性が高まる中で中小企業のBCP(事業継続計画)策定率が15%に留まる一方、高収益企業はリスクへの対策を行い、それが平時の経営改善にも効果を上げているとした。
そして借入れと収益力の関係や事業性を評価した資金供給のあり方を明らかにし、経営力については投資を決定する経営者の意識や企業風土等を分析している。
■参考:経済産業省|2016年版中小企業白書・小規模企業白書をまとめました|
http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160422002/20160422002.html